別の快感


そしてそのことを逆からみれば、
この多くの者が越えられない関を横目にみながらこれを越えてみせるのは、
また別の快感を呼び込むことにつながる。

やってはいけないこと、不可能なことに挑戦するのも人間の業といえる。
皮膚の下の色をどうみるか、
刺青という人の行為をどうみるかということを煎じ詰めていくと、
そこにどのような視線を投げかけ、どのような思いをむすばせるかは、
まさに見る側の見聞しだいというところが面白くもあり、
また悲しい人間の姿だといえそうである。
そしてここで扱う刺青という対象を考える場合も、
所詮は関所の内と外、
演じる者と観る者の相互関係しだいであると覚悟するしかないのかもしれない。